「どうだ、坊主」 当然のことながら匠は首を振り、「ブッブー」と茶化すように言った。 「何度言わせたら分かるんだよ。やっぱ酔っ払いだなあ。ボク、小学生なんだってば。しかも3年生。『仁』なんて漢字習ってないよ?」 「……なっ!?」 そっか、と母親の真紀子からフォローも割って入る。 「よく考えたら、モっていうのは『ウ』でも漢字ができますよね。『宅』って」