「どういうこった?」 ラテの泡がついた口もとを手の甲で拭い、シワだらけの紙を握って真紀子に渡した。 テーブルの中央に広げてもらったところで、口火を切る。 「ボク、これ見たとき変だなあって思ったんだよ。だって、ココ、なんて読むのか最初分かんなかったし」 ココ、と指差したのは、問題文の「呻」という文字だった。 「そりゃあ『うめく』だろう。小学生にゃ、難しいか」 「それだよ!小学生に読めない漢字を、なんで使うの?お姉ちゃん、ボクに出してくれる予定だったんだよ?この問題」