――お姉ちゃん……。 初めて知った味は、けれどほんのりしょっぱかった。 「匠……」 ――こんなに美味しいなら……言ってくれればよかったのに……。お姉ちゃんは、ズルっこだな。 どこへともなく、ただ宙へ、姫子宛ての苦情を投函する。 カップの繊細な泡が細かく弾けて、香りの糧になっていく。 そのたび、昼間の思い出が次から次へと鮮明に蘇ってきた。