「『いぬ』だと、犯人はいないってことでしょ?それを教えるためなら、お姉ちゃんが両手をグーにする意味ないじゃん」 「……そう、です……よね……」 「まあそりゃそうだわな。わはは」 ――いちいちお酒臭いなあ。離れてよ、酔っ払い! なまじ座っている席が近いせいで、アルコールの匂いが否応なく漂ってくる。 匠は頭がくらくらしていた。