「でもさ、少しはそういうことも考えてたのかもね」 いたたまれず、匠がさりげなく香苗の肩を持つ。 「片方から紙がはみ出してたからって、そっちだけに紙があるとは限らないじゃん。両方グーにしてたら、『こっちにも何か紙が』って思うかもしんないし」 「そ、そうよね。うんうん。ワタシもそれが言いたかったの」 ――嘘つけっ。 「まあ、ホントにそんなつもりでグーにしてたかは分からないけどね。とにかくこの両方のグーにはちゃんと意味があると思うよ」