「酷なことは分かってる。お母さんたちも手伝う。だから……」 「無理……だよ。お姉ちゃんは……まだ――」 匠はメモ紙から目を逸らした。 逃げたのだ。 死体を見ていない匠にとっては、引き受けた瞬間、実際に彼女が「死んだ」という事実を認めることになる。 認めた途端に、心がさらに救いようのないほど壊れてしまうのが怖かった。