「匠。これは佐伯さんから、あなたへの……伝言なのよ」


涙を手の甲で拭いながら、真紀子が言った。



「ボクへの……」



メモ紙に視線をやる。


今日ずっと見続けてきた、親しみのある細くてやや丸っぽい文字。


書かれてあるのは、紛れもなく匠宛ての文章だった。



「彼女があなたに解いてと言ってるの」


「でも……ボクは……」