詩音に笑っててもらいたいから、俺は詩音のことを諦めると言った。
「いっくん・・・あたし・・・わかんないの・・・あたし、本当にいっくんのこと好きだよ。でも、藤島くんが黒木さんと付き合い始めたことを聞いた時、胸が痛かったの。藤島くんが黒木さんと歩いてるの見ると、辛いの・・・」
詩音、ホント鈍感だな・・・
「な?それって、詩音が藤島のことを好きな証拠だろ?なぁ詩音、俺たち、別れよう・・・俺は詩音が藤島を好きでも構わない。でも詩音は、そんな気持ちのまま俺と付き合っていくの辛いだろ?」
笑っててほしい、別れても大切な幼なじみだよと言う俺に、詩音が
「いっくん、ありがとう・・・」
と、涙を流しながら精一杯のかわいい笑顔で言った。
「最後に、もう一度だけキスさせて・・・」
最後の俺のわがままに、詩音は目を閉じ、俺のキスを受け入れてくれた。
詩音、俺、詩音に笑っててほしいんだ・・・

