あなたに見守られながら・・・


消毒が終わり、
「ありがとう・・・」
と言う紫藤。

「お~、別にこれぐらいどってことねぇよ。それよりもさぁ、お前、前にも言ったけど、もう少し自覚した方がいいんじゃねぇ?」

「自覚って、何を?」

「はぁ・・・やっぱりわかっていなさ過ぎ・・・お前さ、かわいいんだから・・・自分がモテてること自覚しないと・・・イチローがかわいそ過ぎる。お前のことが心配でしかたねぇんだろ・・・」

そうだ・・・俺だって心配なんだよ。また前川の時みたいなことになったらどうしようって・・・
それに、悔しい。
俺が言えない気持ちを、いろんな男が紫藤に伝える。
俺だって・・・紫藤が好きなんだ・・・

自分の気持ちが抑えきれなくなった俺は、保健室を出ようとした俺の後についてきた紫藤を・・・抱きしめてしまった。


しばらくして「ごめん」と言って離れた俺。
「行こうか」と言うと、「うん」と返事をしてひょこひょこついてくる紫藤。