あなたに見守られながら・・・


その声が優しくて・・・
いつもの優しいいっくんの声に安心したあたしの体は、震えが止まった・・・
でも、今度はいっくんが震えてる・・・

いっくん・・・?
そう思って顔を上げると、いっくんの頬に涙が流れていた。

「いっくん・・・泣かないで・・・お願い・・・」

そう言って、あたしはいっくんの背中に腕を回した。

「詩音・・・俺、ダメだ・・・欲張りになってる・・・詩音が俺と付き合ってくれたのは木崎を忘れるためだけなのに・・・それでもいいって思ってたのに・・・俺・・・いつの間にか詩音を俺だけのものにしたいって・・・前川に酷いことされて・・・それを藤島が助けて・・・俺が助けてあげれなかった・・・それが俺、悔しくて・・・」

そこまで言ったいっくんは、あたしを抱きしめる手を少し弱めた。

「俺・・・詩音のこと、笑顔にしたいって言ったのに・・・詩音が笑顔ならそれでいいって思ってたのに・・・今は、俺が詩音を泣かせてしまってる・・・」

あたしから体を離したいっくん。

「今日はこれ以上一緒にいたら、詩音に何もしないって自信がないんだ・・・詩音、前川にキスされて傷ついたのに、俺も同じことしてしまった・・・いつか、誰かに本当にキスされたりしたらどうしようって・・・俺、不安で・・・バカだろ?詩音は俺のこと好きでも何でもないのにな・・・でも、俺、詩音にキスしてしまいそうなんだよ・・・頼む・・・帰ってくれ・・・」

そう言って、いっくんはあたしを部屋から追い出した。