けれど、事実この人は、年がら年中三木家に入り浸りなわけで。いつでもこっちのグループに在籍しているものだから、ついうっかり既婚者だということを忘れてしまう時もある。
「そういや俺、ケイさんの奥さんと息子さんに会ったことないっす」
「おぉ、せやな」
「せやな。やなくてええ加減紹介したれよ」
「えー」
「お前なぁ…そんなやからりんがギャーギャー言うんやろ」
「もう慣れたわ」
「慣れんなよ、そんなことに」
「だって俺、結婚する気なかったんやもん」
意外や意外。よもやそんなセリフがケイさんの口から出るとは。
食後のコーヒーを運んで来た志保さんも、それには驚いて目を丸くしていた。
けれど、三木親子は違う。
「それは奥さんに対して失礼ですよ」
「大事にしたってくれや、頼むから」
怒りを滲ませる聖奈と、肩を落とすハルさん。そんな二人の視線から逃れるように、ケイさんは「あははー」と笑って美緒を抱いて立ち上がった。
「俺は、お前らが幸せやったらそれでええんや」
遠い目をして笑うケイさんは、どこか寂しげで。
こんな時、読めすぎるというのも辛い。チラリと視線を遣ると、志保さんも「あらら」とでも言いたげだった。
「そういや俺、ケイさんの奥さんと息子さんに会ったことないっす」
「おぉ、せやな」
「せやな。やなくてええ加減紹介したれよ」
「えー」
「お前なぁ…そんなやからりんがギャーギャー言うんやろ」
「もう慣れたわ」
「慣れんなよ、そんなことに」
「だって俺、結婚する気なかったんやもん」
意外や意外。よもやそんなセリフがケイさんの口から出るとは。
食後のコーヒーを運んで来た志保さんも、それには驚いて目を丸くしていた。
けれど、三木親子は違う。
「それは奥さんに対して失礼ですよ」
「大事にしたってくれや、頼むから」
怒りを滲ませる聖奈と、肩を落とすハルさん。そんな二人の視線から逃れるように、ケイさんは「あははー」と笑って美緒を抱いて立ち上がった。
「俺は、お前らが幸せやったらそれでええんや」
遠い目をして笑うケイさんは、どこか寂しげで。
こんな時、読めすぎるというのも辛い。チラリと視線を遣ると、志保さんも「あらら」とでも言いたげだった。

