state of LOVE

「何があった?」
「ハルトがチサを問い詰めたデスヨ」
「問い詰めた?」
「何で言わんかってん!言いたくないもん!ほな何で智には話すねん!ともとはいいの!ほなずっと智と一緒におった良かったやろ!そんなん言うはる嫌いっ!…となったデス。ハルトらしくないデスネ」

あぁ、あのことか…と一人納得した俺に、ダイニングテーブルに料理を並べていた聖奈がコホンと一つ咳払いをした。

「放っておけばいいです。構う必要はないですよ」
「お前ねぇ…」
「フェミニストも度を超すとただの女好きですよ」
「え?それメーシーのこと?」
「メーシーも、です。くだらないことを言ってないでさっさと食べてください。残ってるのはマナだけなんですから」
「はいはい。すみませんね、セナさん」

席に着くと、手の込んだ料理が次々と運ばれてくる。

さすがだね。と素直に称賛する俺の向かいに座り、聖奈はチラリと秋山さんに視線を遣ってふぅっと小さく息を吐いた。

「どうぞ。召し上がれ」
「おぉ。いただきます」
「わざわざマナの分だけ作り直したんですよ」
「そりゃまぁ…ご苦労様でした」
「ごめんなさいっ!私が一緒に押し掛けたりなんかしたから、人数が合わなくなっちゃって…」
「アイリが気にすることはないデスヨ。それならワタシも同罪デス」
「いえ。そうゆうつもりで言ったのではありませんので」

出たよ。ツンだ、ツン。

感じわりーな。とボヤく俺に、グラタンに狙いを定めて伸ばしかけていた美緒の手が戻って来た。

「とーちゃ、め!」
「え?俺?」
「とーちゃ、め!」

俺の何が悪いと言うのだろう、この娘は。おそらく敵ばかりだろうこの状況で、俺に反論が許されるはずはない。

何も言わないが吉だ。と小さく肩を竦め、ふーふーと冷ましたグラタンを美緒の口へと運んだ。

「美味いか?」
「おーちー」
「よしよし。そのままちーちゃんで育ってくれよ」

簡単に食べ物に釣られてくれるのは、ちーちゃんの良いところの一つでもある。それを受け継いでくれるのならば、父親としては大歓迎だ。