レベッカと秋山さんを先に三木家へ向かわせ、俺は一人自宅へと車を走らせた。

美緒の母親のことは、帰ってから家族会議を開くなり何なりしてゆっくり話そう。そう…取り敢えず、残念ながら「家族」というカテゴリーから外れてしまう秋山さんと、家族ではあるけれど話をややこしくしそうなマリーが帰ってから。


「面倒くせー。ついてねー」


NYで暮らしていた頃は、今よりずっと平和だった。

high schoolへ行って、バイトへ行って、残った仕事を持って迎えに来た彼女と彼女のマンションへ帰る。そこに泊まることも多かったけれど、妹からのcallで急遽家へ戻されることも少なくなかった。


「何してんだろ、俺」


そう言えば、あの頃付き合っていた彼女は俺より10近く年上だったような気がする。名前はそう…ミサだった。幅の広い大きな目と、薄い唇がsexyだった。


「元カノ…ね。あー、怖い、怖い」


こんな風に思い出に浸っているなどと知れたら、きっとただでは済まないだろう。

どうしてこうなったのか。俺にも時々疑問に思うことがある。思ったところで、俺と聖奈の運命は、聖奈が生まれた時…いや、おそらく俺が生まれた時から決まっていただろうから、変に足掻こうなどとは思わないけれど。