そんなことを思いながら視線を遣ったカフェの入り口に、物凄く良いタイミングで1.5名の脱走者の姿があった。
「何か…子供が紛れ込んでるように見えるのは…幻覚かな」
「え?子供?どこに?」
「入り口にねー。俺、疲れてんのかも」
「そんな疲れることしとら…千彩っ!?」
「えっ?先生のお知り合いですか?」
「あー、あれね。先生の奥さん」
「えー!」
そう。
その反応が見たかったんだ。
と、出かかった言葉を呑み込み、余りの驚きに手からスルリと落ちてしまった箸を拾ってやりながら俺はニヤリと笑った。
勿論、慌てて駆け寄って行ってしまったハルさんには、そんな俺の顔は見えてはいない。
「ビックリした?」
「あっ…うん」
「あの人、ああ見えてアラフォー」
「そうなのっ!?」
「うちの母親の一回り下」
「MARIさんってそんな年なんだ」
「まぁ、19になる息子がいるくらいだから。あの人の体内時計動いてんのかなーって時々俺も思うよ」
体内時計どころか、あの人の場合は脳ミソの時計まで止まっている感は否めない。
それがいいんだ!と強引に押し付けるメーシーの手前、最近では表立ってそう意見することも減ってしまったけれど。
「まーなっ」
「hi,ちーちゃん。お散歩?」
「うん。病院行ってヒロに会ってきた帰り」
「もー。俺が帰るまでおって言うたやん」
「だってはる遅いもん。ヒロがかわいそう」
「もぉ…」
初めて来る場所にウキウキ感が溢れ出ているちーちゃんと、ガックリと肩を落とすハルさん。そして…
「とーちゃ!」
「おぉ。いい子にしてたか?美緒」
「おー!」
少しずつだけれど、確実に言葉を覚え始めた可愛い盛りの娘。そんな娘を抱き上げて頬擦りする俺。
幸せだー。などと思っている暇は…なさそうだった。
「何か…子供が紛れ込んでるように見えるのは…幻覚かな」
「え?子供?どこに?」
「入り口にねー。俺、疲れてんのかも」
「そんな疲れることしとら…千彩っ!?」
「えっ?先生のお知り合いですか?」
「あー、あれね。先生の奥さん」
「えー!」
そう。
その反応が見たかったんだ。
と、出かかった言葉を呑み込み、余りの驚きに手からスルリと落ちてしまった箸を拾ってやりながら俺はニヤリと笑った。
勿論、慌てて駆け寄って行ってしまったハルさんには、そんな俺の顔は見えてはいない。
「ビックリした?」
「あっ…うん」
「あの人、ああ見えてアラフォー」
「そうなのっ!?」
「うちの母親の一回り下」
「MARIさんってそんな年なんだ」
「まぁ、19になる息子がいるくらいだから。あの人の体内時計動いてんのかなーって時々俺も思うよ」
体内時計どころか、あの人の場合は脳ミソの時計まで止まっている感は否めない。
それがいいんだ!と強引に押し付けるメーシーの手前、最近では表立ってそう意見することも減ってしまったけれど。
「まーなっ」
「hi,ちーちゃん。お散歩?」
「うん。病院行ってヒロに会ってきた帰り」
「もー。俺が帰るまでおって言うたやん」
「だってはる遅いもん。ヒロがかわいそう」
「もぉ…」
初めて来る場所にウキウキ感が溢れ出ているちーちゃんと、ガックリと肩を落とすハルさん。そして…
「とーちゃ!」
「おぉ。いい子にしてたか?美緒」
「おー!」
少しずつだけれど、確実に言葉を覚え始めた可愛い盛りの娘。そんな娘を抱き上げて頬擦りする俺。
幸せだー。などと思っている暇は…なさそうだった。

