運良くカフェの窓際の席を陣取ることが出来た俺達は、それぞれにランチBOXを広げて手を合わせた。
「わっ。佐野君のお弁当凄い!」
「そ?thank you」
「私のなんて冷凍食品ばっかり。何か恥ずかしい」
「一人暮らしなんか?」
「はい。絶対無理だと思ってたんですけど、受かったんで東京に」
「へぇ。じゃ、念願叶ってってこと?」
「うん!」
箸を置いてギュッと両手を握る秋山さんは、いかにも「オンナノコ」という雰囲気を醸し出していて。これはハルさんの好みだろうな…などと思いながら隣を窺い見ると、やはり表情は緩んでいた。
さすがエース。
いつでも期待に応えてくれるところが大好きだ。
「ハルさん…伸びてますよ、ここ」
トントンと指先で鼻の下を叩く俺を見て、ハルさんは慌てて表情を戻す。
何だろう。仕事をしている時とは違う、家にいる時ともまた違うこの感じは。根本的な趣味の問題だろうか。
「佐野君の彼女、まだ高校生なのに凄いね」
「ん?あぁ、これは彼女のお母さん作」
「彼女のお母さんって…」
「そっ。ハル先生の愛しの奥さん。よく見て。中身一緒だから」
「あっ。ほんとだ」
さて。
彼女は今どんな母親を想像しただろうか。
ハルさんと同年代の、それなりに年相応の母親だろうか。それとも、うちの女王様みたく「見た目だけは」文句のつけどころの無い年齢不詳の母親だろうか。
どちらも違うんだ。笑ってそう言えるチャンスを俺は窺っている。
「ハル先生の奥さん、お料理上手なんですね」
「おぉ。専業主婦やし、それくらいしかすることないからな」
「あー。そうゆう言い方どうなんでしょ。外にさえ出してあげれば、もっと色んなこと出来ると思うのは俺だけですかね?」
「お前だけやろな。俺も反対、セナも反対、メーシーも反対。恵介なんか大反対やぞ」
「何でそこまでするんだか」
「ガキにはわからん事情ってもんがあるんや」
聖奈の話では、聖奈が物心ついた頃にはちーちゃんは既に軟禁状態にあったらしい。
そんなちーちゃんが時々脱走すると、一家総出で大騒ぎになる。何があったのかは知らないけれど、外の世界を知ることも大切なことだと思うのは、ごくごく一般的な考えだと思うのだけれど。
「わっ。佐野君のお弁当凄い!」
「そ?thank you」
「私のなんて冷凍食品ばっかり。何か恥ずかしい」
「一人暮らしなんか?」
「はい。絶対無理だと思ってたんですけど、受かったんで東京に」
「へぇ。じゃ、念願叶ってってこと?」
「うん!」
箸を置いてギュッと両手を握る秋山さんは、いかにも「オンナノコ」という雰囲気を醸し出していて。これはハルさんの好みだろうな…などと思いながら隣を窺い見ると、やはり表情は緩んでいた。
さすがエース。
いつでも期待に応えてくれるところが大好きだ。
「ハルさん…伸びてますよ、ここ」
トントンと指先で鼻の下を叩く俺を見て、ハルさんは慌てて表情を戻す。
何だろう。仕事をしている時とは違う、家にいる時ともまた違うこの感じは。根本的な趣味の問題だろうか。
「佐野君の彼女、まだ高校生なのに凄いね」
「ん?あぁ、これは彼女のお母さん作」
「彼女のお母さんって…」
「そっ。ハル先生の愛しの奥さん。よく見て。中身一緒だから」
「あっ。ほんとだ」
さて。
彼女は今どんな母親を想像しただろうか。
ハルさんと同年代の、それなりに年相応の母親だろうか。それとも、うちの女王様みたく「見た目だけは」文句のつけどころの無い年齢不詳の母親だろうか。
どちらも違うんだ。笑ってそう言えるチャンスを俺は窺っている。
「ハル先生の奥さん、お料理上手なんですね」
「おぉ。専業主婦やし、それくらいしかすることないからな」
「あー。そうゆう言い方どうなんでしょ。外にさえ出してあげれば、もっと色んなこと出来ると思うのは俺だけですかね?」
「お前だけやろな。俺も反対、セナも反対、メーシーも反対。恵介なんか大反対やぞ」
「何でそこまでするんだか」
「ガキにはわからん事情ってもんがあるんや」
聖奈の話では、聖奈が物心ついた頃にはちーちゃんは既に軟禁状態にあったらしい。
そんなちーちゃんが時々脱走すると、一家総出で大騒ぎになる。何があったのかは知らないけれど、外の世界を知ることも大切なことだと思うのは、ごくごく一般的な考えだと思うのだけれど。

