「それはいくらなんでも言い過ぎでしょ」
「昨日カレー二杯食べとったけどなぁ」
「しかも普通盛りでね」
確かに三倍かもしれない。何も「秋だから」というわけではなく、年がら年中そうなのだ。一年一緒にいれば嫌でもわかる。
いや、今はそんな話ではなくて。
「どうしたんすか?」
「新しい浮気相手か?」
「違うんですハル先生!私が勝手に…っ」
「あー。そんな慌てなくても平気。このおじさん、若者をからかうのが趣味だから」
「誰がおじさんや」
「え?いい歳ですよ?結構」
ムニムニと頬を掴まれながら反論するも、この状態ではさすがに辛い。手を取ると、それは簡単に離された。
「で?」
「おぉ。ベッキーは?」
「人気者だな、アイツ。うちの父上とランチしてるはずですけど」
「前のカフェ?」
「だと思いますけど。呼びます?」
「いや、ええわ」
そう言ったかと思うと、ハルさんは二枚のデザイン画を俺に手渡した。
「これでいくらしいから、仕上げるように伝えといて」
「また…レベッカか」
「ドンマイ、婿殿」
今度のコレクションには、勿論俺もデザイン案を出していた。
今回だけならず、前回も前々回も通ったのはレベッカのデザインで。これではナンバーワンはレベッカだと認めざるを得ない。
「え?これ、レベッカちゃんのデザインなの?」
「おぉ。そだよ」
「凄い…」
「アイツは期待の新人だから」
「まぁそう捻くれんなって」
「これ以上俺が捻くれたら、社長のせいだって伝えといてくださいね」
「うわぁー。それ以上どうやって捻くれるつもりや」
何かが足りない。
それはわかっているのだけれど、何が足りないのかがわからない。レベッカのデザインと見比べても、差は歴然なのにもかかわらず。
「昨日カレー二杯食べとったけどなぁ」
「しかも普通盛りでね」
確かに三倍かもしれない。何も「秋だから」というわけではなく、年がら年中そうなのだ。一年一緒にいれば嫌でもわかる。
いや、今はそんな話ではなくて。
「どうしたんすか?」
「新しい浮気相手か?」
「違うんですハル先生!私が勝手に…っ」
「あー。そんな慌てなくても平気。このおじさん、若者をからかうのが趣味だから」
「誰がおじさんや」
「え?いい歳ですよ?結構」
ムニムニと頬を掴まれながら反論するも、この状態ではさすがに辛い。手を取ると、それは簡単に離された。
「で?」
「おぉ。ベッキーは?」
「人気者だな、アイツ。うちの父上とランチしてるはずですけど」
「前のカフェ?」
「だと思いますけど。呼びます?」
「いや、ええわ」
そう言ったかと思うと、ハルさんは二枚のデザイン画を俺に手渡した。
「これでいくらしいから、仕上げるように伝えといて」
「また…レベッカか」
「ドンマイ、婿殿」
今度のコレクションには、勿論俺もデザイン案を出していた。
今回だけならず、前回も前々回も通ったのはレベッカのデザインで。これではナンバーワンはレベッカだと認めざるを得ない。
「え?これ、レベッカちゃんのデザインなの?」
「おぉ。そだよ」
「凄い…」
「アイツは期待の新人だから」
「まぁそう捻くれんなって」
「これ以上俺が捻くれたら、社長のせいだって伝えといてくださいね」
「うわぁー。それ以上どうやって捻くれるつもりや」
何かが足りない。
それはわかっているのだけれど、何が足りないのかがわからない。レベッカのデザインと見比べても、差は歴然なのにもかかわらず。

