教室を出た俺を追って来た足音は、予想していたメーシーのものではなかった。
どうやらメーシーは、息子への怒りを「お気に入りの30歳年下のブロンドガールにランチに誘われるというラッキーな事態」でどこかへやってくれたしい。それはそれで問題があるような気もするのだけれど、背に腹は代えられない。
というわけで、俺はランチBOX片手にそそくさと校内のカフェへと向かっていた。
確か…そう、秋山さんだ。レベッカの履く細いヒールではなく、太めで高さも控えめなヒールで懸命に俺の後を追う姿は、買い物に出かけてふと振り返った時の聖奈のそれに似ていた。
「どしたの?」
「あれっ?気付かれちゃった」
「いや、気付くでしょ」
俺には堂々と後を追ってきているように見えたのだけれど、本人の意思はそうではなかったらしい。これは…男女の感覚の違いというやつだろうか。
「俺に何か用?」
「あっ、えっと…レベッカちゃんは?」
「あぁ、レベッカならMEIJI先生とランチしてるんじゃないかな。用があるなら呼び出すけど?」
携帯を掲げる俺に器用に首と手を同時に振り、秋山さんは「へへっ」と笑って顔を赤らめた。
あぁ、これは幾度か経験したことのある感覚だ。
「お昼、一緒に食べない?」
「弁当なんだけど」
「私もお弁当なの」
そう言って掲げられたランチBOXは、我が家では到底見ることのないほど小さくて。驚く俺に、秋山さんはまた首と手を振り更に頬を紅潮させた。
「ごめんっ。迷惑だったよね」
「ん?」
「彼女…いるって言ってたし」
「あー…別にいいよ?」
「彼女…この学校じゃないの?」
「うちの彼女まだコーコーセー」
「え?」
「ロリコンじゃねーよ?先に言っとくけど」
そう釘を刺しながらまじまじとランチBOXを見つめる俺に、秋山さんは不思議そうに首を傾げた。
「な…何?」
「あぁ。足りる?そんなので」
「皆これくらいじゃない?」
「わー。うちの彼女、それの倍は食べるよ」
「いや、三倍やろ」
そんな失礼なことを言いながら俺の肩に顎を乗せたのは、言うまでもなくハルさんで。それに驚く秋山さんにヒラヒラと手を振ったかと思うと、その手はムニッと俺の頬に攻撃を加えてきた。
どうやらメーシーは、息子への怒りを「お気に入りの30歳年下のブロンドガールにランチに誘われるというラッキーな事態」でどこかへやってくれたしい。それはそれで問題があるような気もするのだけれど、背に腹は代えられない。
というわけで、俺はランチBOX片手にそそくさと校内のカフェへと向かっていた。
確か…そう、秋山さんだ。レベッカの履く細いヒールではなく、太めで高さも控えめなヒールで懸命に俺の後を追う姿は、買い物に出かけてふと振り返った時の聖奈のそれに似ていた。
「どしたの?」
「あれっ?気付かれちゃった」
「いや、気付くでしょ」
俺には堂々と後を追ってきているように見えたのだけれど、本人の意思はそうではなかったらしい。これは…男女の感覚の違いというやつだろうか。
「俺に何か用?」
「あっ、えっと…レベッカちゃんは?」
「あぁ、レベッカならMEIJI先生とランチしてるんじゃないかな。用があるなら呼び出すけど?」
携帯を掲げる俺に器用に首と手を同時に振り、秋山さんは「へへっ」と笑って顔を赤らめた。
あぁ、これは幾度か経験したことのある感覚だ。
「お昼、一緒に食べない?」
「弁当なんだけど」
「私もお弁当なの」
そう言って掲げられたランチBOXは、我が家では到底見ることのないほど小さくて。驚く俺に、秋山さんはまた首と手を振り更に頬を紅潮させた。
「ごめんっ。迷惑だったよね」
「ん?」
「彼女…いるって言ってたし」
「あー…別にいいよ?」
「彼女…この学校じゃないの?」
「うちの彼女まだコーコーセー」
「え?」
「ロリコンじゃねーよ?先に言っとくけど」
そう釘を刺しながらまじまじとランチBOXを見つめる俺に、秋山さんは不思議そうに首を傾げた。
「な…何?」
「あぁ。足りる?そんなので」
「皆これくらいじゃない?」
「わー。うちの彼女、それの倍は食べるよ」
「いや、三倍やろ」
そんな失礼なことを言いながら俺の肩に顎を乗せたのは、言うまでもなくハルさんで。それに驚く秋山さんにヒラヒラと手を振ったかと思うと、その手はムニッと俺の頬に攻撃を加えてきた。

