「反抗期?」
「かもな」
「マリコとLaylaは?」
「日曜に戻ってくるって」
「なら安心だ」

どうやらレベッカは、メーシーからの反撃を危惧してくれていたらしい。


マリコが戻れば安全。


どこを見てそう言えるのかはわからないけれど、まぁ…いざとなればマリーを使えば片付くことは事実だ。

「先生!昔のJAGは、アーティスト同士の交際は禁止じゃなかったんですか?」
「あー…うん。禁止だったよ」
「それでも結婚したんだー。MARIさんが売れてたから何も言われなかったんですか?」
「んー…僕と彼女は、JAGに入社する以前から恋人同士だったからね。でも一応、結婚するまではトップシークレットだったよ。まぁ、そんな風に長く一緒に居られる相手が君達にも早くできるといいね。ってことで、今日の講義は終わり!」

誤魔化せなければ強制終了。この数日、三木家でもよく見た光景だ。と思いながらうーんと伸びをする俺に、壇上の魔王が微笑んだ。

「佐野君、一緒にランチはどう?」
「遠慮します。お弁当男子なんで」
「そっか。それは残念だ」

何も壇上から呼びかけなくとも…と呆れる俺にレベッカが囁く。

「こりゃ大変だ」
「後はよろしく」

レベッカを向かわせれば、怒りは半減くらいしてくれるだろう。

そんな期待を胸に、少し遅れた反抗期の真っ最中の息子は、特別講師に来た父にペコリと頭を下げた。