幼い頃、妹と二人で見上げた空はいつだって小さかった。

俺達兄妹が１５年間育ったＮＹ。

夏は暑くて冬は極端に寒い。高層ビルが立ち並び、アスファルトで埋め尽くされたあの街は、地上も空も狭かった。

その頃よりも、もっともっと幼い頃の記憶。

おそらく潜在意識の中に眠っているだろうその記憶は、決まって夢の中で映像になる。

艶やかな黒髪と、それに合わせたような黒目がちの猫目。

淡い色のワンピースをドロドロにしながら笑顔で俺と遊んでくれたその人は、いつだって俺の味方だった。

妹が生まれたばかりで付きっきりだった母の代わりに、いつだって俺の傍に居てくれた人。大好きだと笑ってくれた人。



俺は、その人が大好きだった。