「ちーちゃんが無事だったのは、体が綺麗だったからですか?」
「そうゆうのは高く売れるって相場が決まっとるんや。運が良かったんや。あの頃、あいつらが金に困ってなかったら危なかった」
「だとしたら美緒の母親は…」
「帰って来てないはそのせいやろな」
ふと視線を落とした俺の前に、一枚の写真が置かれた。
美緒をそのまま大きくしたような愛らしい女性と、その隣にはいかにも!な感じが漂う男性。言われずとも、それが美緒の母親と深山だということは一目でわかった。
「ちーちゃんといいこの人といい…幼女趣味…っすかね」
「そうかもなぁ」
「世の中、変わった趣向の人が多くてついていけません」
特に嫌味を言ったつもりはなかったのだけれど、ソファから「こら!」と一喝が投げつけられた。口を挟まないんじゃなかったのかよ。と視線だけで訴える俺に、メーシーは緩く首を振って立ち上がる。
「王子、セナちゃんと一緒に休んでくれば?」
「いや…」
「もう限界だろ?明日には姫が戻って来るんだから。ちゃんと心落ち着けとかないと」
「あぁ…せやな」
「大丈夫。俺と愛斗でちゃんとしておくから」
「悪いな。頼むわ」
「ケイ坊は和室?それとも家に戻る?」
「俺…いっぺん家戻るわ。ちーちゃんが戻って来た頃にまた来るから」
「そっか。じゃあ気をつけて」
「…うん」
揃ってリビングを出る二人を見送り、メーシーはガラリと表情を変えた。その豹変ぶりに慣れている俺は、呑気に構えていることが出来たのだけれど。
「やっちゃう?この男」
「おいおい。物騒だな、dady」
「俺、そうゆうの大嫌いなんだよ。フェミニストだし?」
「こえーわ」
「許せないだろ。姫を傷つけたなんて」
「アンタもちーちゃんかよ」
「当然。あの子は俺達のangelなんだよ」
「へーへー」
大人達の最優先事項は、いつだってちーちゃんだ。これでは聖奈が捻くれるのも無理はない。と、その人達の次世代である俺は冷ややかな思いを抱く。
「今はちーちゃんの過去より美緒の母親。優先事項間違えないでくんね?」
「俺達にとったら、逆にそっちの方がどうでもいい。美緒も母親も赤の他人だ」
「その赤の他人を、今から我が息子が引き取ろうとしてるんすけど」
「勝手にしろよ。俺はお前じゃない」
「出たよ、俺様」
「あの…佐野…さん?」
弱々しい大介さんの声に、どうやらメーシーの上った血の気も落ち着いたらしい。ゴホンと一度咳払いをして、何とかいつもの表情を引き戻していた。
さすがメーシー。その切り替えの速さは尊敬に値する。
「そうゆうのは高く売れるって相場が決まっとるんや。運が良かったんや。あの頃、あいつらが金に困ってなかったら危なかった」
「だとしたら美緒の母親は…」
「帰って来てないはそのせいやろな」
ふと視線を落とした俺の前に、一枚の写真が置かれた。
美緒をそのまま大きくしたような愛らしい女性と、その隣にはいかにも!な感じが漂う男性。言われずとも、それが美緒の母親と深山だということは一目でわかった。
「ちーちゃんといいこの人といい…幼女趣味…っすかね」
「そうかもなぁ」
「世の中、変わった趣向の人が多くてついていけません」
特に嫌味を言ったつもりはなかったのだけれど、ソファから「こら!」と一喝が投げつけられた。口を挟まないんじゃなかったのかよ。と視線だけで訴える俺に、メーシーは緩く首を振って立ち上がる。
「王子、セナちゃんと一緒に休んでくれば?」
「いや…」
「もう限界だろ?明日には姫が戻って来るんだから。ちゃんと心落ち着けとかないと」
「あぁ…せやな」
「大丈夫。俺と愛斗でちゃんとしておくから」
「悪いな。頼むわ」
「ケイ坊は和室?それとも家に戻る?」
「俺…いっぺん家戻るわ。ちーちゃんが戻って来た頃にまた来るから」
「そっか。じゃあ気をつけて」
「…うん」
揃ってリビングを出る二人を見送り、メーシーはガラリと表情を変えた。その豹変ぶりに慣れている俺は、呑気に構えていることが出来たのだけれど。
「やっちゃう?この男」
「おいおい。物騒だな、dady」
「俺、そうゆうの大嫌いなんだよ。フェミニストだし?」
「こえーわ」
「許せないだろ。姫を傷つけたなんて」
「アンタもちーちゃんかよ」
「当然。あの子は俺達のangelなんだよ」
「へーへー」
大人達の最優先事項は、いつだってちーちゃんだ。これでは聖奈が捻くれるのも無理はない。と、その人達の次世代である俺は冷ややかな思いを抱く。
「今はちーちゃんの過去より美緒の母親。優先事項間違えないでくんね?」
「俺達にとったら、逆にそっちの方がどうでもいい。美緒も母親も赤の他人だ」
「その赤の他人を、今から我が息子が引き取ろうとしてるんすけど」
「勝手にしろよ。俺はお前じゃない」
「出たよ、俺様」
「あの…佐野…さん?」
弱々しい大介さんの声に、どうやらメーシーの上った血の気も落ち着いたらしい。ゴホンと一度咳払いをして、何とかいつもの表情を引き戻していた。
さすがメーシー。その切り替えの速さは尊敬に値する。

