「美雨、お帰りなさい稽古はどう?」
「犬一匹くらい負かせるようになったのかしら?」
「勿論、強くなったぜ!って、湖!犬っころくらい最初っから負かせるつーの!」
「あら、どうかしらね、犬に吼えられて泣いていた覚えがあるのだけれど…」
「え?そうなの美雨?」
「なっ、餓鬼の時の話だろ!?」
「今だって十分餓鬼じゃない」
美雨が叫ぶなか
クスクスと私と湖で笑いあう
この二人と話しているとホントに楽しい
こうやって、
親友兼付き人の二人とお話しして
昼は勉強や琴に精を出して
一貴族の一人娘として生きていく。
そんな私の大切な日常、それは素敵な物だけれど
もう一つ、必要不可欠なものがある。
日常の中の非、日常的存在。
「ねぇ、明日付くのはどっち?」
「未桜はいつも唐突だな・・今日湖だったんだから俺だよ」
「朝、脱走手伝ってくれるよね?」
溜息一つ、断固脱走反対派の美雨だからしょうがない
でも、私がお願いっと頼んでいると
渋々ながら了解してくれた
「今回が最後だからな・・・」
そう言いながらも毎回手伝ってくれる美雨が大好きよ
言わないケドね
明日の朝が待ち遠しい。
「じゃぁ、私寝るわね」
「早いですね…私達とお話するのはつまらないとお感じで?」
「そんなわけないでしょ!早く寝たら早く明日が来るじゃない」
「・・・そうですか、ではしっかり疲れをおとりになってください」
「ええ、おやすみなさい二人とも」


