「未桜様、何度言ったらわかるのです」


「・・・」


「いい加減、すぐに脱走するのはやめて下さい」


「・・・」


「貴方は仮にもこの月宮家を継ぐ・・・」


「・・・未桜様。」





由諸正しい清原の血を継ぐ月宮家


清原の血といっても


かの有名な清少納言と濃い血の繋がりはない。


未桜は清原家の男の愛人の子の子の子にあたる。


だが、愛人だからといって裕福でないわけではなく


月宮もれっきとした中堅貴族だ。





そんな月宮家の一室。


未桜、只今説教され中


熟睡中とも言う。





「貴方様はいつもいつも・・・」


「真面目に聞いてくださいっ!!」


大きな怒声が部屋に響く


流石に夢の中まで届いたのか


ゆっくりと瞼を開けると


わなわなと怒りをあらわにする


付き人のまとめ役、菊乃(キクノ)の顔が目の前にあるのと


その後ろ付き人であるとともに、


未桜の一番の親友である湖(ウミ)の


呆れたようにため息を付く姿が目に入った。





ぽけ、っとだらしなく菊乃を見つめ返した後

「・・・おやすみなさい」

「未桜様っ!!いい加減にしなさいっ!!」

瞼を閉じようとする未桜に

再び菊乃の怒声が響いた。



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