それからのことはよく覚えていない。 いつの間にか終わっていて、拍手が聞こえ、気づいた時には楽器を片付けていた。 「今日のお前らの演奏は最高だった! 指揮をする手が思わず震えていないか俺が焦っちまったよ。」 先輩達は皆、抱き合ったり涙を流し合ったりしている。 風先輩も綺麗に微笑みながら目元が光っていた。 「ありがとう…皆、ありがとう!!」 風先輩はそう言いながら私達ホルンパート全員に抱きついた。 その時漸く私は実感した。 コンクールが終わってしまったんだ……