青春時代は一度きり



―――

「星野さん、ありがと!助かっちゃったよ」


数学のノートを返しに、また星野さんに話しかける。

星野さんは何も言わずにノートを受け取る。


そして机の上に乗せると、また外を眺めた。


…なんか楽しい事があんのかな。

そう思って、俺も外を見る。


……何もない。


「星野さんって、いつもどこ見てんの?」


そう聞いてみる。

星野さんは振り向かない。


…無視?地味に傷つく。


「なー、星野さん――」

「みーなとっ。何してんの~?」


と、美香が俺の腕にすりよってくる。

…珍しいな。


「星野さんと話しようとしてる」

「えー?でもさぁ、相手にされてないじゃん」


ケラケラと笑う美香に、俺は軽いチョップを喰らわせる。


「いったぁい!乙女に手を上げるなんて、サイテー」

「誰が乙女だアホ」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ美香を黙らせようとする俺。

こんなに騒いでいても、星野さんは微動だにしなかった。


…多分俺はこの時から、星野さんに興味を持ったんだと思う。