俺は、窓際に座る女子に話しかけた。
「星野さん。数学の課題やった?」
星野さんはくるっと振り返る。
―――至近距離で見るのは、初めてだ。
意外と、綺麗な顔してんなぁ…。
「…え?」
「課題、やった?よかったら、見せてほしいんだけどー…」
「あぁ…、うん。別に…」
星野さんは無表情に言うと、ノートを俺に貸してくれた。
「ありがと!数学の時間になったら返すから!」
笑顔でそう言うと、星野さんは何も言わずにまた外に目を向けた。
星野さんこそが天使だよ!
机に戻り、急いで課題を写す。
…智也の目が冷たい気がするが、気にしたら負けだ。
「えーっ。湊、借りたの?」
「あぁ。星野さんに」
「あたしのは拒否したくせに…」
「へー。湊、星野さんと話せるんだ」
カツヤの言葉に、俺は少し不思議に思った。
話せるんだ…って、なんだ?
「どういう意味だ?」
「ほら。星野さんって、なんか近寄りがたくね?美人だし、喋ってるとこあんま見ないし」
「そうだっけ?」
ふーん…。
俺は、星野さんに目を向けた。
相変わらず、窓の外を見ている。
…確かに、そう言われれば。星野さんが誰かと話をしてるところとか見たことないかも。
今、どんなことを考えてんだろうな。
って、早く課題写さなきゃな。



