私は目を伏せて視線から逃げると、 「だって私……さっき全部を思い出すまで、駿に気付けなかったんだもん……」 搾り出すようにして伝えてから、さらに落ち込んだ。 だって……大切な人なら、普通は忘れないよね。 私、最低だなぁ………。 思わずため息をつくと、 「―――…ごめん、梨乃。 それは俺のせいだ」 駿が決まり悪そうに呟いた。 「………え?」 どういうことなの?