「またねー!」 「ばいばーい!」 ファミレスの扉が開くと、生温い夏特有の風が吹き抜ける。 顔に纏わり付くうっとうしい黒髪を振り払う。 友達と別れて繁華街を歩き出した。 ふと目線を上げると、もう日は落ちかけていて、空は橙とも紫ともどっちともつかない色を映し出していた。 「あっ!これ可愛いー!」 「買ってやろうか?」 「うっそ!ともちん優しいー!」 何が“ともちん”だ、何が。 店のショーウインドーに張り付く彼女と、その子を甘やかす彼氏を尻目に突っ込みつつ、若干羨ましかったりする。