『てっめぇ! 大事な打ち合わせがある事、忘れてたんじゃネェだろうな…ぁ?』 ……すみません。忘れてました…。 「…ワリィ…」 『すみませんじゃねぇよ!! とっとと、来やがれ――!!』 ブツン!! 音を立てて通話が切れた携帯を僕は呆然と見ていた。たしかに、今日は得意先との打ち合わせがあったはず…。 うわぁ!! やばいッ!! 「カ、カナコ。僕行くから!」 「うん!! わかってる。…シノブ君、ごめんね?」 床に置いたままのカバンを掴み、僕に差し出す。