ようやく見えてきたカナコのバイト先は、今日始めて来た。

こんな形が始めてだ何て思ってもみなかった。もっと、面白半分で来たかったのに…。
そう思いながら、店の扉を開けた。


「お帰りなさいませご主人様!」

目の前の女の子が満面の笑みでお辞儀をして、顔を上げた瞬間、少し顔を強張らせた。

「…悪いんだけどカナコ、いる? あと、僕と似た顔をした奴もいるはずなんだけど…」

客じゃないと分かると、女の子は裏手から回ってきてほしいと言う。どうやら、男が入って行く所を見られるのがやばいらしく…、僕はその言葉に従った。

「控え室にいますので…しばらく、誰も入らないようには言っていますので…」


そう言うと、女の子は再び仕事へと取り掛かりに行った。

あの女の子に仕事の中断させた事を少し心の中で詫びながら、僕は目の前の扉をゆっくりと、けど力強くノックをして返事を待つ。


「……はぃ」

野太い声。扉を開けたのはやっぱりダイスケだ。


「…シノブ…」