しばらく3人で話していると……

「優心、ちょっと買い物頼みたいんだけど、いいかしら?」
「え?」
「お醤油とお肉がなくて、肉じゃが作れないのよ~」
「んなの、母さんが行けばいいじゃねぇか。雫も来てるんだし」
「母さん他にやること多いのよ~」
「わぁったよ。行くよ、行きますよ。悪い、雫。ちょっと行ってくるな」
「一緒に付き合おうか?」
「嬉しいけど、雨降りそうな空だから、雫は待ってな」
「…わかった」
「すぐ、帰ってくるな」

そう言って、俺は母さんとじぃちゃんの部屋を出た。


* * * 

もし、雫に買い物に付き合ってもらったら、

雫を、傷付けることはなかったのだろうか…?

雫が、あんなことをしなくてすんだのだろうか…?

なにが正しくて、なにが間違っているのか、

まだまだガキな俺達にはなにひとつ、分ることはなかった。

正しい道を選べば、
きみは。
きみと俺は、どうなっていたかな。