「おい、大丈夫か?」
「うん、平気」

また、ふわりと笑う宮崎。
彼女の心を読んでも…
やっぱり、なにも感じ取れなかった。

「っ、なぁ、なんで、泣かねぇの」
「え?なんで、泣く必要があるの?」
「…は?」

「悲しくもないのに、泣く意味、ある?」
「なに言って…」

「あの子たちの言う通り、あたし、なにも感じないから」
佐々木くんも分ってるでしょ?と、付けくわえて、宮崎は言った。

「バイバイ、佐々木くん」

何事もなかったように、綺麗に笑って教室を出た。

どうしてだろう。
宮崎は、笑っていたはずなのに…

俺には、泣いているように見えたんだ…。