世界で一番大切なもの

「葵ちゃんがサボりとか珍しいねー?」



伊東くんは、そう言いながらあたしの横に座る。



「そうかな」



首を傾げたけど、



まあ、あたしはどちらかというと真面目で



普段はサボるなんてこと滅多にない。



「大崎が一緒じゃないのも珍しいー」



「あはは、京ちゃん?」



「葵ちゃんと大崎って、いつも一緒じゃん。付き合ってるんでしょ?」



「まさか!いつも一緒だけど…付き合ってはないよ」



いつも京ちゃんに引っ付き回ってるから。



友達はみんなあたしと京ちゃんが付き合ってると思ってるらしい。



前は弁解して回っていたけど、放っとけ、って京ちゃんが言うから



最近は放っている。



「京ちゃんは、ちゃんと集会に出てるの」



「え?今集会中?」



「伊東くん、いつからサボってたの?」



「昼休み。気付いたら寝てたー」



あははー、と伊東くんはその場に転がった。