「 ・・・・菜緒ちゃん? 」 「 うん? 」 「 どうしたの? 」 このやり取りはもう何度 繰り返しているか分からない。 けど、気付いたら紗希の声は 遠くなっていて、代わりに 楓くんのことで頭がいっぱいに なっていた。 「 ・・・ねぇ、紗希 」 「 んー? 」 図書館から程近い喫茶店で あたしは飲めもしない 珈琲を目の前に溜息を零した。 紗希に言わないわけにはいかない。 隠してもどうせバレるのだから。 「 好きな人、できた 」