救急のフロアは慌ただしい雰囲気で白衣の看護師や医師が廊下をバタバタ右往左往している。




ドンッ


「あ、すみません」



通りすがりの医者があたしの肩にぶつかり謝る。





あたしはとっさにその医師の腕を捕まえる。



「あっあのっ…!伊勢谷陣は…先ほどバイク事故で運ばれた高校生はどうなったか知りませんか?!」


「バイク事故の高校生?」




医師はずれた眼鏡を直しながらあたしを見る。



「あぁ、思い出した。彼なら今は手術が済んであっちの集中治療室だよ」


「!」


「一命はとりとめたが酷いケガだったんだよ。今は絶対安静で寝てるから面会ならそこの受付で申請して」




医者はそれだけ言うと忙しそうにまた走って行った。