「陣さん、どうしちゃったんすかね…」





荒れた陣がバイクで峠に走り去った後、タツが心配そうに言う。






「どうやら未唯ちゃんと喧嘩しちゃったみたいでね」



佐和は苦笑いする。




「姉御とっすか?」


「うん。僕が遊び過ぎちゃったかな」


「…………」


「未唯ちゃんが良い子だからさ。陣とうまくいけば良いなって思ったんだけど」




眉を下げて微笑む佐和に、タツも遠慮がちに言う。




「自分はバイク一本の硬派な陣さんにずっと憧れてました。でも…姉御とやり取りしてる時のすげぇ優しい目をした陣さんも好きっす」



「そうだね」



「姉御とはまだ短い付き合いっすけど…仲直りしてまたみんなで集まりたいっすよ」