「未唯ちゃん」





!!


佐和先輩が小声でコソッとあたしに言う。





「すぐそこに原付あるでしょ。あれピンのだから使いな」


「ピ…ピン?」




佐和先輩は目だけで、ピンクのモヒカンを指す。


どうやら彼の名前(あだ名?)がピンというらしい。




「隙を見て未唯ちゃんはピンの原付で逃げてね」


「え…?それって…あの」


「こっちは5人。相手はざっと50人以上はいるでしょ?さすがにちょっと荒れそうだからね」


「…!」




震えるあたしに佐和先輩は微笑む。




「大丈夫だよ。未唯ちゃんさえ無事逃げれれば、俺達だけならなんとでもなるから」





で…でも…

N高が仇を取りに来た女って…



ナイフで刺した女って多分あたしの事だよね??



あたしのせいで皆はピンチになってるんだよね?