一億よりも、一秒よりも。

「俺、誕生日じゃないっすよ」すぐに夏木が言うと、三原先輩はにっと笑う。

「前に作ったあのポスターな、評判が良いんだよ。ご褒美だ」
「俺ご褒美なら女の子がいいっす」
「阿呆が。それはまた今度な」
 
我が社の色男はもう一度大きく笑ってから、自分のデスクへと戻っていった。
その後ろを後輩の女の子が追ってゆく。彼女はどうやらあの人が気になっているらしい。
面倒なことにならなければいいけれど。


「お、二個入ってんじゃん」
 
すぐさま箱を開封した夏木が、そう声を上げてから箱を手で切り始めた。

「ほれ、シノ。一個やる」
 
綺麗に四角形に切られた厚紙は、そのまま皿となってこちらにやってきた。