一億よりも、一秒よりも。

それなのに今は、彼女の言葉に安堵感を得ている。
振られることが嬉しいわけじゃない。だけどやっぱりという気持ちもある。
その曖昧な感情が入り混じって、本能のコントロールが効かなくなる。

 
愛していなきゃ、セックスなんて出来やしない。
だけどそれは俺だけの価値観で、彼女の価値観はまた別のところにあるのかもしれない。
それでも誘えば応じてくれたのだから、嫌われているわけではないのだと思っていた。
そんなに性にだらしない女性には思えなかったから。

 
ああ、そうだ。俺はひとつのことに気づく。
 
俺はきっと、キョウが自分との関係について決断してくれたことが嬉しいのだ。
 
これでやっと、恋に落ちていたことに気づけたのかもしれない。