私は、まともに恋愛なんて今までに一度もしてきていない。 昔みたいに裏切られるのが怖くて、踏み出せないでいた。 それに、私は高宮さんが好きだし。 やっぱり諦められなよ。 だから、他の人と恋なんてあるわけない。 私は窓に肘をあてながら流れる町並みを見ていた。 「相手の方、いい人だといいですね。」 私のうかない顔を見た西島はそう言った。 いい人かぁ~。 婚儀の相手が高宮さんなら、 どれだけ嬉しいだろう。 私は心の中でそんな淡い期待を抱いていた。