きっと、今外にいる他の人たちは唖然としているだろう。
そんなことを思いながら、彼に握られた手を振りほどこうとした。
「・・・っ!」
でもあっけなく、その手はまたキャッチされてしまってドアにそのまま押し付けられた。
この人は、人を押し付けるのが好きなのだろうか。
それとも、人を振り回すのが好きなのだろうか。
「・・・ムカつく。」
そういってもう片方の手で、私の首筋をなぞった。
「・・っな、なにして・・・っ」
「なぁ、名前で呼べよ。」
その低くて甘い声で、囁いたんだ。
当然私もドキンと心臓が高鳴ってしまうわけで―――。
「む、り・・っ」
「・・・直哉って、呼んで?」
いつからこの人はこんなに、甘くなったのだろうか。
そんな疑問も頭に浮かんできた。

