「・・・・直哉なら、いませんよ。」 私が早口にそう伝えると、彼女はまた微笑んだ。 「今日は、あなたに用事があってきたの。」 彼女は自分の前髪をかき上げた。 「・・・・丁度よかった。私も、話したいことがあったんです。」 ―――私はスカートを握り締めながら笑顔をつくった。 彼女には負けられない、本能がそう告げたのだ。