少し前から、本当は気付いてた。 ――それに、少しだけ思い出してもいた。 私には12歳の時の記憶だけがない。 大人たちに理由を聞くと、いっつも気まずそうな顔をして 「あれは事故だったのよ…。」 としかいってくれなくて――――。 結局、本人である私はどんな事故か―――何も知らなかった。