信じる


杏里:「…もしもし。」

美和:「杏里、今どこ!?幸樹となにがあったの??」

美和が必死になって
ウチに問いかけてきた。

杏里:「…。」

美和:「昨日幸樹と電話したの。幸樹泣いてたよ?幸樹、彼女のことで泣いたのは初めてだったからビックリした。」

杏里:「…。」

なにも言葉が出ない。
今喋ったら
泣いてることがバレる。

美和:「ねぇ、杏里。杏里はこれでいいの?」

杏里:「…もう、いいの。」

美和:「幸樹のこと、キライになった?」

…そんなわけないじゃん。

大粒の涙。
もう、バレてもいいや。

杏里:「ウチは…幸樹とずっと、一緒にいたい。別れたくなかった。大好きなの。…ずっと好きなんだよぉ。別れるなんて、思ってなかった…幸樹。ごめんなさい…。」

美和:「謝んないで、杏里。今外なんでしょ?泣き止める?」

杏里:「…ムリ。涙、止まんない…」

美和:「…ちょっと一旦電話切るね。そこから動かないでね。」

杏里:「うん…」

携帯を閉じ、
再び顔を伏せる。

一通のメールが届く。


Dear:杏里
From:健吾

今暇?
会いたい。


杏里:(え…!?幸樹に報告しなきゃ!!………あ、もう別れたから関係ないんだ。)

杏里:「…」

携帯を閉じる。

何もかもが
どうでもよくなってくる。

杏里:(こんなに好きになってたなんて、気づかなかったな…)

大切なものを
失ってから気づくことが
あまりにも多すぎて
混乱してしまう。