【短編】『彼』はウソをつかない。






『芽衣…どしたの?』



カナが心配してる。



本当に優しい子…。



早くあの教室から脱出させなきゃ…。



「カナ、あのね、私早退することになったの。だから鞄持ってきてほしいんだ」



『えっ。大丈夫?やっぱり疲れてたんだね。今持っていくから、待っててね』



「カナ、早くね。早く!」



電話を切る。



これでよし。



これで、カナは助かる。



よかった…。



ありがとう、『彼』。



ーーードウイタシマシテ…メイ



『彼』の声音が温かい。



愛しい温もりだ。