社長と秘密の生活



「お待たせ致しました」


介添え人の声で振り向くと、

すぐ後ろに白無垢姿の花嫁が立っていた。


彼女は煌びやかな白無垢姿で、

綿帽子を被り俯いていた。

綿帽子が邪魔して顔が見えない。

花婿の事もあって顔が上げ辛いんだろう。


俺はそのことには触れず


「とってもお綺麗ですよ。ご主人様に見て頂けないのは残念ですが、会場にいる沢山の方々に見せて差し上げましょう」


俺は優しい口調で話しかけた。


すると―――、


「今日は突然の事で申し訳ありません。私なりに一生懸命努めますので…どうぞ、宜しくお願い致します」



彼女は緊張のせいなのか

少し震える涙声で挨拶をした。