早苗先生は『少し、我慢して下さい』と呟き、
口に貼られたガムテープを剥がして、
手足を拘束しているロープを解いた。
すると、人の気配を感じた彼女は
「奥様!!こちらです!!」
早苗先生が急に声を荒げた。
コツコツコツとヒール音がこだまする。
……奥様?
誰かがこちらに近づいて来る。
早苗先生は自分が着ているコートで私を包み、
抱えるようにしてゆっくり立たせてくれた。
目の前に現れたその人は、
「杏花さん、ごめんなさいね。もっと早くに来れたら、こんな事には……」
私は自分の目と耳を疑った。
だって目の前にいるのは、―――小夜さんだったから。



