スィートルームのある階は、

誰もが部屋のトイレを使用する。

わざわざフロアのトイレを使用する者はいない。

すり替わるのには最適な場所。


俺がトイレの洗面台前で待機していると


「ごめん、遅くなって」


和成が現れた。


「いや、俺の方こそ…我が儘言って悪いな」

「いいさ、別に。要の奢りで最上階に泊まれるんだから」

「彼女、部屋にいるから」

「サンキュ。杏花ちゃん、驚くだろうな?」

「そうだな」

「じゃあ、そろそろ行きますか?」

「あぁ」


――――パンッ。


俺と和成は軽くハイタッチを。