リビングは薄暗く、寝室は明るい。 寝室からは俺が覗いているのが分かりづらい。 女は俺のジャケットから携帯を取り出し、 何やらチェックしている。 そして、おもむろに自分のバッグから携帯を取り出し、 ―――――誰かへ電話を掛け始めた。 「もしもし?シュウ?小春だけど…。今、一条 要の携帯をゲットしたわ。中に女の名前が幾つかあるからメモして帰るね?」 女は修矢に電話していた。 やっぱり、修矢の手先だったんだ。 俺はもしもの事を考えて… 仕事用の携帯をジャケットに忍ばせておいた。