「けど、私が家を継がなくて…お母さん反対しないの?」

「まさか。そりゃ、杏花が継ぎたいって言うなら止めないわ。けど、杏花は杏花。やりたい事あるんでしょ?」

「けど、ホテル辞めたよ?」

「それでも、今は幸せなんでしょ?」

「…………うん」


“今は幸せ…?”……幸せよね?

要と離ればなれだけど、

でも夫婦でいることに変りはない。


素敵な人と出会って…

好きな人が旦那様なんだもの。

きっかけや順序は少し変だったけど、

それでも今は……倖せよね?


「なら、いいんじゃない?」


お母さんは優しく頭を撫でながら微笑んでくれた。


「……ありがとう……お母さん」


私はそんなお母さんに抱きついた。

お母さんは優しく抱きしめ返してくれた。

お母さんの優しい温もり。

本当に久しぶり。