社長と秘密の生活



「一条コーポレーション」

「お前みたいなのが、一条に就職出来るワケがない」

「だけど、今だって海外に出張中だし。後で、携帯の請求書見てびっくりするよ?」

「ウソをつくんじゃない!」

「ウソじゃないって。本当に長話してると、とんでもない請求額になるからね?」

「海外って、どこだ?」

「ニューカレドニア!じゃあ、お土産送るから」

「ちょっ……」


まだ言い足り無さそうな父親の言葉を無視して、電話を切った。

辺りを見回し、景色を確かめる。


ん?……アレ??

ここ………どこ??

話に夢中で迷子になったみたい。


コテージはどこだろう?

もう!!

お父さんのせいで迷子になったじゃない!!


携帯を握りしめ、キョロキョロ辺りを見回して

こっちから歩いて来たんだから、あっちじゃないよね?


1人で悩みながら歩き始める。